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外国人の会社設立と経営管理ビザ|行政書士×司法書士の実務Q&A

会社設立

執筆者: 渡邉 貴宏

監修者: 浦松 丈二

新メンバー紹介:多摩トラスト 渡邉貴宏先生(認定司法書士・民事信託士・申請取次行政書士)に聞く


この記事の結論

  • 平成27年3月16日の法務省通知以降、代表取締役の全員が海外居住者でも日本での会社設立登記は可能(日本国籍不要)。
  • 2025年10月16日施行の改正により、経営・管理ビザの要件が大幅厳格化。資本金3,000万円以上・常勤職員1名以上の雇用・日本語能力N2相当・経営経験3年(または学位)・専門家による事業計画確認書が新たに必須に。
  • 外国人の会社設立は、行政書士(入管)と司法書士(登記)の連携で圧倒的に効率化できる。

「外国人が日本で会社をつくるのは、ハードルが高そう」
「社長が海外に住んだままでは、そもそも登記ができないのでは?」

――そう思っていませんか?

実は、平成27年の法務省通知をきっかけに、この分野のルールは大きく変わりました。いまや代表取締役の全員が海外居住者であっても、日本での会社設立登記は可能です。外国人の起業を支える在留資格「経営・管理」も、この登記の仕組みを正しく理解することで、ぐっと申請しやすくなります。

今回、士業ドットコムSAMURAIの新メンバーに、東京都小平市・調布市に事務所を構える多摩トラストの渡邉貴宏先生が加わりました。司法書士・民事信託士・申請取次行政書士に加え、マンション管理士・管理業務主任者・宅地建物取引士の資格をもつ渡邉先生は、令和8年4月、東京都行政書士会田無支部の「国際業務研究会」(入管業務を行う行政書士約30名の勉強会)で、「行政書士のための『外国人の会社設立・増資』実務攻略セミナー」と「外国人・海外居住者の商業・法人登記手続きガイド」という二本立ての研修講師を務めたばかりです=下の写真
――経営管理ビザ(経営・管理ビザ/中黒なしは「経営管理ビザ」)と商業登記の連携実務について、渡邉先生にお話を伺いました。

東京都行政書士会田無支部の「国際業務研究会」で講師を務める渡邉貴宏先生
用語のおさらい(2025年10月16日改正後)
- 在留資格「経営・管理」:外国人が日本で会社の経営または管理に従事するためのビザ。2025年10月16日施行の改正により要件が大幅に厳格化されました。主な新基準は次のとおり。
- 資本金 3,000万円以上(従来の500万円から6倍に引き上げ)
- 常勤職員 1名以上の雇用(従来は「資本金500万円 or 常勤職員2名以上」の選択制 → 両方必須へ)
- 申請者または常勤職員のいずれかに日本語能力試験 N2相当以上の日本語力
- 申請者本人に3年以上の経営経験、または修士・博士・専門職学位のいずれか
- 事業計画書の実現性について中小企業診断士・税理士・公認会計士等の専門家による確認書
- 独立した事務所の確保は従前どおり必要
- 経過措置:2025年10月16日時点で既に「経営・管理」を保有する方は、2028年10月16日まで3年間の経過措置あり(更新時に段階的に新基準へ適合)
- 在留資格認定証明書(COE):日本の地方出入国在留管理局が発行する、来日前に取得する証明書。
- 定款認証:株式会社設立時に公証人役場で行う、会社の基本ルールを定めた書面の認証手続き。

Q1.そもそも、なぜ「登記」と「入管」の連携が必要なのですか?

経営・管理ビザを取得するには、原則として会社設立(法人登記)が先行、または同時並行で進んでいる必要があります。入管はビザ審査で「事業の実在性」を確認しますが、登記事項証明書(会社の謄本)がなければ、「本当に会社が存在しているのか」を立証できないからです。

行政書士が入管申請を担当する段階で、司法書士の登記実務と噛み合っていないと、依頼者に余計な時間と費用を負わせてしまいます。行政書士と司法書士は、同じ案件の入口と出口を担う共同走者。これが私がいつも強調しているメッセージです。


Q2.代表取締役が海外に住んでいても、日本の会社を設立できますか?

はい、できます。

平成27年3月16日の法務省民商第29号通知により、代表取締役の全員が海外居住者であっても、設立登記・就任登記・重任登記が可能になりました。日本国籍である必要もありません。

ただし注意点があります。登記が可能であることと、経営・管理ビザの審査に通ることは別の話です。特に2025年10月16日施行の改正で、経営・管理ビザには、資本金3,000万円以上、常勤職員1名以上の雇用、日本語能力N2相当、経営経験3年または学位、専門家による事業計画書の確認書、独立した事務所の確保といった要件が課されるようになりました。登記と入管の両方を見据えて、書類を一体で準備することが大切です。


Q3.資本金の払込みは、どの口座でもいいのですか?

いいえ、使える金融機関には決まりがあります。

まず必要書類の「2点セット」を押さえましょう。

  • 払込みがあったことを証する書面(設立時代表取締役または代表執行役が作成)
  • 預金通帳の写し、または取引明細表(金融機関名・払込履歴・口座名義人の3点が必須)
外貨で払い込む場合は、払込日の為替相場と日本円換算額の記載を忘れないでください。ここの記載漏れは実務で非常に多く、補正となればビザ申請のスケジュールが後ろにずれます。

使える金融機関と使えない金融機関も整理しておきましょう。

【使える】

  • 内国銀行の国内本支店

  • 内国銀行の海外支店

  • 外国銀行の日本国内支店(内閣総理大臣の認可あり)


【使えない】
  • 外国銀行の海外本支店

  • 内国銀行が海外で設立した現地法人(子会社)


「海外の日系銀行」と一言で括ってしまうと、「支店」なのか「現地法人」なのかという決定的な違いを見落としがちです。依頼者からのヒアリング段階で、口座の正式名称をきちんと確認してください。


Q4.海外居住者ばかりの会社でも、払込口座は確保できますか?

はい、「海外居住者特例」があります。

原則は、発起人または設立時取締役の口座を使います。

しかし、発起人および設立時取締役の全員が海外居住者である場合に限り、第三者(個人・法人を問わない)の口座を使うことが可能です。委任状は発起人1名分で足ります。

これは、海外居住者だけで日本法人を立ち上げる際の大きな味方です。協力してくれる第三者(日本在住の知人や関連法人など)の口座を活用する選択肢を、最初から案に入れておくとよいでしょう。


Q5.印鑑証明書が取れない外国人は、何で代用するのですか?

本国官憲が発行する「サイン証明書(署名証明書)」で代用します。

発行機関は次のいずれかでOKです。

  • 本国の行政機関(自国内)
  • 日本にある本国大使館・領事館
  • 居住国(第三国)にある本国大使館・領事館
たとえば「中国籍でベトナム在住」の方なら、ベトナムの中国大使館で取得したサイン証明書が有効です。

やむを得ず本国官憲の証明書が取れない場合は、居住国の官憲・公証人、または日本の公証人によるものが認められる余地があります。その場合は管轄の登記所に事前相談が必須です。

なお、サイン証明書の取得には数週間かかる国も少なくありません。依頼者の国籍・居住国は、受任した時点ですぐに確認することをおすすめします。


Q6.契印(割印)はどうすればいいですか?

印鑑がなければ、署名やイニシャルで代替できます。

定款や議事録のように複数枚にわたる書類の契印(割印)は、外国人にとって悩みの種です。次のいずれかの方法で代替可能です。

  1. 各ページのつづり目に署名(割サイン)
  2. 各ページの余白部分に署名
  3. 各ページの余白部分にイニシャルを自書
  4. 袋とじ部分(表紙と裏表紙の両方)に署名
書類作成の初期段階で、どの方法を採用するか統一しておくことが、後戻りを防ぐポイントです。

Q7.外国語の書類はすべて翻訳が必要ですか?

原則として、すべて日本語訳文の添付が必要です。

一定要件下での省略規定(平成29年法務省民商第16号通知等)もありますが、チェックリストで翻訳漏れを防ぐのが確実です。翻訳文に公証は不要な場合が多いものの、責任の所在を明確にするため、訳者の氏名は明示しておきましょう。


Q8.忘れてはならない「相続登記の義務化」とは?

2024年4月1日から、相続登記が義務化されました。これは日本在住か否かを問わず、外国人にも適用されます

経営・管理ビザで来日した外国人経営者が、事業の成長とともに日本で個人名義の不動産を取得するケースは増えています。申請義務を怠れば、10万円以下の過料の対象です。

不動産を持つ外国人クライアントには、相続登記の義務化についてひと言案内を添えるだけで、信頼がぐっと深まります。具体的な申請は司法書士へお任せください。


行政書士と司法書士の連携フロー

渡邉先生が研修で示した連携の流れをイラストにして整理すると、次のようになります。

渡邉先生が研修で示した連携の流れをイラストにして整理すると、次のようになります

また、文章のリストにすると、次のようになります。

  1. 事業計画の確認・相談(行政書士)

  2. 会社設立準備(行政書士・司法書士連携)

  3. 資本金の払込み(依頼人)

  4. 設立登記申請(司法書士)

  5. 会社設立完了・登記事項証明書の取得(司法書士)

  6. 事務所の確保・事業実態の整備(依頼人/行政書士)

  7. 在留資格「経営・管理」申請(行政書士)

  8. 在留資格認定証明書の交付・ビザ取得


この8ステップを、最初の段階で依頼者に見せるだけで、案件全体の見通しが一気に良くなります。


今すぐ確認!外国人の会社設立チェックリスト

  • ☐ 代表取締役の住所(海外可)
  • ☐ 払込みに使用する金融機関の種別(可・不可の区別)
  • ☐ 払込口座の名義人(発起人/設立時取締役/第三者)
  • ☐ 委任状の要否
  • ☐ 外貨払込みの場合:為替相場・円換算額の記載
  • ☐ サイン証明書の取得先・取得期間
  • ☐ 外国語書類の日本語訳文
  • ☐ 複数ページ書類の契印代替方法
  • ☐ 相続登記義務化の案内(不動産保有者の場合)

渡邉先生からのメッセージ

外国人の会社設立と経営・管理ビザの実務は、入管法、会社法、商業登記、そして不動産実務までまたがる、まさに士業横断の領域です。依頼者にとって本当に頼りになるのは、「この案件は誰に振ればよいのか」を即座に判断できる士業ネットワークです。

私は司法書士として、行政書士の先生方と手を携えて、外国人経営者の日本進出を一件でも多く形にしていきたいと考えています。登記のことでお困りのことがあれば、どうぞお気軽にお声がけください。


渡邉隆弘認定司法書士

執筆者

渡邉 貴宏 (わたなべ たかひろ)

認定司法書士/民事信託士/申請取次行政書士/マンション管理士/管理業務主任者/宅地建物取引士

  • 小平事務所:〒187-0004 東京都小平市天神町二丁目22番1号201
  • 調布事務所:〒182-0024 東京都調布市布田一丁目45番地6 調布東口ビル2階
  • TEL・FAX:042-318-4524
  • MAIL:ta-25@s-shoshi.jp
  • HP:https://www.tama-trust.com/

▶ 渡邉先生に相談する

参考資料・出典(一次ソース)

※ 本コラムは上記の一次ソース(法令・通知・官公庁公式ウェブサイト)に基づき作成しています。最新の運用については各所管庁の公表情報をご確認ください。


※本コラムは生成AIの支援を受けて制作し、企画・執筆・編集の各段階で人間が事実確認と最終判断を行っています。内容は公開時点の情報に基づきます。

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