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「公表されてから動くのでは遅い」── 文京区の相続案件で士業が今すぐ確認すべき2025年路線価データと2026年予測

不動産

執筆者: 浦松 丈二

監修者: 浦松 丈二

この記事の結論

  • 文京区の2026年地価公示(令和8年・2026年3月18日公表)は平均 189万5320円/㎡、前年比 +16.03%。全国1376市町村のなかで地価水準は8位、上昇率は4位(国土交通省)。文京区がここまで動いているという事実は、相続案件を扱う士業にとって最重要の前提となります。
  • 国税庁は令和8年分路線価図等を 2026年7月1日(水)11時公開 と既に発表済み。本稿執筆の2026年5月17日時点で残り約6週間。一方、国交省の地価公示(2026年1月1日時点・3月17日報道発表・3月18日個別地点掲載)はすでに手元にあり、概算の目安として評価額の試算や資料収集、税理士への相談準備を前倒しできます。

私が代表を務める四葉不動産はサクラの名所・播磨坂の上、小日向にあります。今年も、夏が近づいてきました。── 国税庁が令和8年分の路線価図等を 2026年7月1日(水)11時に公開すると発表しています。文京区で相続手続きを準備中の方たちにとっては、評価額を考えるうえで重要な基準が示される日です。けれども、この日を待ってから動くのでは遅すぎます。あと約6週間。文京区で相続を控える方々がいま準備できることを、士業の現場から書いておきたいと思います。

文京区の地価が、動いています。全国1376市町村のうち、変動率は4位です。教育機関の集中、地下鉄4路線の交差、海外資金の流入、富裕層の世代交代。複数の要因が重なって、相続税評価額の前提がここ数年で大きく書き換えられました。


国税庁路線価図の令和8年分公開、いつ・どう発表されるのですか?

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国税庁は令和8年分の路線価図等を 2026年7月1日(水)11時に公開すると既に発表しています。

国税庁路線価図は、相続税・贈与税の計算基準として使われる公的データです。毎年、その年の1月1日時点の評価が、約半年遅れで公開されます。令和8年分は 2026年7月1日(水)11時公開で確定済みです。

公開ページは https://www.rosenka.nta.go.jp/ 。誰でも、無料で、全国分が見られます。スマートフォンでも開けます。

① 公示地価との時間差

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国土交通省の公示地価は、毎年1月1日時点の評価を、その年の3月下旬に報道発表します(令和8年分は 2026年3月17日報道発表・3月18日個別地点掲載)。一方、国税庁の路線価は同じ1月1日時点でも、半年遅れの7月公開です。この4か月のズレが、本記事のテーマである「公開前の約6週間が重要」という意味の根拠になっています。

② 公示地価×0.8の関係(概算の目安として)

路線価は、地価公示価格等を基にした価格の 80%程度を目途 として設定されます(国税庁路線価公表資料での説明)。そのため、3月に発表された公示地価から、7月に公開される路線価の 概算の目安 を試算することはできます。

ただし、これはあくまで概算です。実際の相続税評価では、路線価そのものに加え、奥行価格補正率、土地の形状(間口・奥行・不整形)、利用状況、借地権、私道負担、セットバックなどを個別に確認する必要があります(国税庁 No.4602「土地家屋の評価」)。平均公示地価×0.8だけで個別地の評価額が確定するわけではない点に注意してください。


なぜ「公開前のこの約6週間」が士業実務で重要なのですか?

結論から申し上げますと、申告期限10か月の中で、公開前に評価額の振れ幅を把握しておけるかどうかで、税理士への相談準備の質が大きく変わるからです。

相続税の申告期限は、相続開始を知った日の翌日から10か月以内です(国税庁 No.4205)。文京区のように、戦前からの旧家・寺社地・大学関連用地・二世帯住宅・賃貸併用住宅・タワーマンションが混在する地域では、評価そのものに時間がかかります。

公開後にいきなりご相談ですと、初動が遅れ、評価減・特例適用の検討時間が圧縮されます。逆に、2025年路線価と2026年地価公示でクロスチェックの概算幅を作っておけば、公開当日からの動きが明らかに変わります。必要書類(登記簿、固定資産税通知書、過去の譲渡履歴)の事前収集もこの期間にできます。

「公開される瞬間まで何もできない」というのは誤解です。公開前の約6週間でできることは、たくさんあります。


直近の文京区はどう動いていたのですか?

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文京区全体の2026年地価公示(3月18日公表)平均は189万5320円/㎡で、前年比+16.03%。エリア別では本郷+18.41%、小石川+16.91%、湯島+16.13%、小日向+12.15%と、いずれも二桁の上昇です。

文京区主要エリアの2026年地価公示(2026年3月18日公表)の平均は次のとおりです。

【表】文京区主要エリアの2026年地価公示(2026年3月18日公表)平均と前年比。原データ:国土交通省「地価公示」、エリア別平均集計:Land Price Japan(tochidai.info)

「エリア別平均」と「標準地1地点」の読み方の違い

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上表の「エリア別平均」は、地域によって住宅地・商業地・近隣商業地の含まれ方や標準地の数が異なるため、単純に横並び比較できる数字ではありません。とくに小日向は、2026年地価公示で確認できる標準地が 1地点のみ です。対象地点は 文京区小日向2丁目49番3、住居表示では小日向2-28-20 の住宅地で、地積100㎡、第一種低層住居専用地域、前面道路は北側4.0m区道です。この地点の2026年公示地価が 120万円/㎡、前年比+12.15% でした(国土交通省 不動産情報ライブラリ「鑑定評価書」)。

つまり、小日向の120万円/㎡は「小日向全体の取引相場」や「商業地を含む町域全体の平均値」ではなく、小日向2丁目の住宅地標準地1地点の公示価格 として読む必要があります。

商業地と住宅地で分けると、住宅地平均が144万8086円/㎡(+13.84%)、商業地平均が227万6296円/㎡(+17.82%)です。Land Price Japan の集計によれば、文京区の地価水準は 全国1376市町村のなかで8位、上昇率は 全国4位 に位置します(原データは国交省地価公示・集計および順位は Land Price Japan による)。

住宅地だけで見ると、小日向120万円/㎡は自然なレンジ

小日向の120万円/㎡は、商業地を含む本郷・湯島・小石川などのエリア平均と比べると低く見えます。しかし、文京区内の住宅地標準地だけで比較すると、過度に低い数字ではありません。

| 住宅地標準地 | 最寄駅・距離 | 2026年公示地価 | 前年比 |
|---|---:|---:|---:|
| 本駒込6-8-23 | 巣鴨600m | 174万0000円/㎡ | +12.3% |
| 西片1-11-5 | 春日460m | 161万0000円/㎡ | +12.6% |
| 湯島4-9-4 | 本郷三丁目550m | 160万0000円/㎡ | +15.9% |
| 小石川2-9-13 | 後楽園270m | 149万0000円/㎡ | +16.4% |
| 千駄木3-7-5 | 千駄木310m | 144万0000円/㎡ | +12.5% |
| 小石川5-17-12 | 茗荷谷310m | 143万0000円/㎡ | +16.3% |
| 本駒込5-22-2 | 駒込650m | 138万0000円/㎡ | +14.0% |
| 大塚4-9-2 | 新大塚650m | 137万0000円/㎡ | +15.1% |
| 白山4-28-18 | 白山400m | 130万0000円/㎡ | +12.1% |
| 小日向2-28-20 | 江戸川橋600m | 120万0000円/㎡ | +12.1% |
| 関口2-7-2 | 江戸川橋470m | 119万0000円/㎡ | +12.3% |
| 向丘1-15-7 | 東大前300m | 117万0000円/㎡ | +12.5% |
| 千駄木2-9-14 | 千駄木500m | 108万0000円/㎡ | +12.6% |
| 目白台3-14-10 | 護国寺460m | 106万0000円/㎡ | +11.9% |

【表】文京区の住宅地標準地の一部比較。原データ:国土交通省「令和8年地価公示」、一覧整理:健ハウジング「公示地価2026文京区」等。価格は1㎡あたり。

このように住宅地だけで見ると、小日向2丁目の120万円/㎡は、関口、向丘、千駄木、目白台などの住宅地標準地と近い水準です。文京区内でも、駅距離、用途地域、前面道路、容積率、商業集積の有無によって公示地価は大きく変わります。

小日向の5年推移 ── 住宅地標準地1地点では累積37%の上昇

私の事務所がある小日向に、視点を絞ってみます。ここでいう小日向の公示地価は、上記の 小日向2-28-20 の住宅地標準地1地点 の価格です。直近5年は次のように動いています。

| 年 | 公示地価平均(円/㎡) | 前年比 |
|---|---|---|
| 2022年(令和4年) | 87万5000 | ― |
| 2023年(令和5年) | 90万5000 | +3.43% |
| 2024年(令和6年) | 96万9000 | +7.07% |
| 2025年(令和7年) | 107万0000 | +10.42% |
| 2026年(令和8年) | 120万0000 | +12.15% |

【表】小日向の公示地価推移。出典:国土交通省「地価公示」、集計:Land Price Japan

2022年から2026年の 5時点比較 で約 +37.1%(2022年から2026年までの実期間は4年間です)。しかも上昇率が年々加速しています。本郷に至っては、2025年215.2万/㎡ → 2026年255万/㎡ で 1年で+18.41% という、ここ20年で見ても大きな動きです(いずれも公示地価平均ベース・Land Price Japan 集計)。

なぜ文京区がここまで動いているのか

公開データから、4つの構造要因が浮かびます。

第一に、教育機関の集中(東京大学、お茶の水女子大学、東京科学大学、その他)で23区内でも突出した密度です。第二に、地下鉄4路線の交差(丸ノ内・南北・三田・大江戸)で、丸ノ内線沿線地価は東京メトロでも最高水準のレンジです。

第三に、国外住所取得者の増加。2025年11月の国土交通省「不動産登記情報を活用した新築マンションの取引の調査結果」では、東京23区における国外住所取得者の登記情報のうち、登記上の住所地・地域として台湾が多いことが示されました(別コラム「国土交通省データが示した日本不動産の新潮流」を参照)。第四に、富裕層の世代交代。文京区在住の60〜80代の方々が、続々と相続を迎えています。


公開前のこの約6週間で「文京区で相続手続きを準備中の方たちがやるべき3つのこと」

やるべきことは3つに絞れます。

① まず、自宅の現在地を確認する(無料・5分)

2025年7月1日公表分の路線価を、国税庁サイトで自分の目で見てみてください。これだけです。

  • どこで:https://www.rosenka.nta.go.jp/
  • 何を:自宅所在地の道路の「○○E」のような表記が、1平米あたりの千円単位の路線価
  • どうする:該当道路の数字を確認、印刷して家族と共有
「自宅の正確な路線価を知らない」というご家庭は、文京区でも珍しくありません。まず知ること。それだけで準備の第一歩は踏み出せます。

② 2026年7月1日公開分の「概算把握」を進める

2026年1月1日時点の地価は、すでに国土交通省から地価公示として3月17日に報道発表されています。この公示地価から、7月公開の路線価の概算の目安を試算できます。

  • 路線価は地価公示価格等の 80%程度を目途 に設定(国税庁 路線価公表資料での説明)
  • 文京区の場合、近年は概ねこのレンジで推移
  • ただし、これはあくまで概算の目安です。実際の評価では、奥行価格補正率、土地の形状、利用状況、借地権、私道負担などを個別に確認する必要があります(国税庁 No.4602)
小日向の100㎡土地で、標準地1地点の単純モデルとして試算してみます。

私の事務所のある小日向について、2026年地価公示の住宅地標準地(小日向2-28-20・地積100㎡・第一種低層住居専用地域)は120万円/㎡です。この標準地1地点を単純モデルとして見ると、次の通りです。

  • 公示地価ベースの単純モデル:120万円 × 100㎡ = 1億2,000万円
  • 路線価予測ベースの単純モデル(公示地価×0.8と仮定):96万円 × 100㎡ = 約9,600万円
  • 2022年の公示地価87.5万円/㎡と比べると:公示地価ベースで約+3,250万円、路線価予測ベースで約+2,600万円(いずれも単純モデル・5時点比較)
これは個別地の評価額ではなく、平均値を使った概算モデルです。実際の評価額は、各種補正率や個別事情で変動します。なお、小規模宅地等の特例は、特定居住用宅地等で330㎡まで80%減額となる場合がありますが、適用可否は取得者・居住状況・保有継続要件等により異なります。必ず税理士にご確認ください(国税庁 No.4124)。それでも、地価公示の水準が約4年で1.4倍近くになっているという事実は、税理士への相談準備の重要性を確実に高めています。 スクリーンショット 2026-05-23 20.38.54.png

③ 「初動だけでも」士業に相談する

30分の電話相談からで構いません。ファイリングしたコピー1枚から、必要な書類が見えてきます。文京区の士業ネットワークなら、税理士・行政書士・宅建士・司法書士の4分野が同時に動ける体制があります。

カウンターのない事務所にしたのには、理由があります。お客様と並んで座って話したかったからです。並んで座ると、土地の話なのに家族の話になる。「子が嫁いだ先で家を建てた」「孫が文京区の小学校に通っている」── そういう話の中から、本当に必要な相続対策が見えてくるのです。播磨坂の上、小日向で四葉不動産を構えてから、こうした並走の時間が私の原点になっています。


2026年7月1日 路線価公開後、次は何をするか?

順番は決まっています。3つです。

  • 公開当日(7月1日 水曜・11時以降):文京区主要エリアの実数値を確認、概算との乖離をチェック
  • 1週間以内:顧問先への一斉連絡、相談優先順位の整理
  • 1か月以内:公開後の本査定をベースに、税理士による申告書作成方針の整理を支援
(続編予告)── 公開数値が出たら、EP03の続編として「文京区路線価2026年公開数値を読み解く」を2026年7月上旬に公開予定です。

文京区の相続案件で、士業の連携が必要だと感じられたら、士業ドットコムSAMURAI(samurai.co.jp)の専門家ネットワークもご活用ください。


❓ 専門家向けFAQ

Q. 公示地価×0.8 で概算した路線価と、実際の公開値のズレはどのくらいですか?
A. 文京区では、公示地価:路線価の比率は近年おおむね80〜82%のレンジです。±5%の幅で概算し、公開当日に微調整するのが現実的です。あくまで概算の目安で、個別地の正確な評価には各種補正率の確認が必要です。

Q. 文京区の住宅地と商業地で、どちらの上昇率が高いのですか?
A. 2026年地価公示で見ると、商業地が+17.82%、住宅地が+13.84%。商業地のほうが上昇率は高いものの、相続評価額の影響を受ける案件数では住宅地のほうが多くなります。

Q. 教育機関集中などの構造要因は予測に織り込めますか?
A. マクロ要因として方向感は読めますが、町丁目単位の振れ幅までは事前予測は困難です。だからこそ、公開前に「幅」で見ておく方法論が有効です。


📝 参考データ・出典

※本記事中の公示地価数値は国土交通省「令和8年地価公示」(2026年1月1日時点・国交省 2026年3月17日報道発表・3月18日個別地点掲載)を一次データソースとし、エリア別平均・前年比・全国順位は Land Price Japan(tochidai.info)による集計値を引用しています。本稿の試算は平均値を使った概算モデルであり、個別地の評価額および税務判断は税理士・行政書士等の専門家に必ずご確認ください。

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