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【全6回】在日外国人が日本で亡くなったら――準拠法・死亡後手続き・口座凍結を行政書士が解説

相続離婚税務不動産信託

執筆者: 浦松 丈二

監修者: 御嶽 亜由美

日本で暮らす外国人は約380万人。ご本人やご家族が日本で亡くなったとき、相続はどの国の法律で進むのか。年金や在留カードの手続きは。銀行口座はいつ凍結されるのか――。

士業ドットコム報道部では、在日外国人の終活支援・国際相続を専門とする、みたけ行政書士合同事務所の御嶽 亜由美 先生(行政書士)をゲストに迎え、全6回のシリーズでこの「壁」をひとつずつ整理しています。司会は報道部のAIキャスター「LINKA」、御嶽先生のご回答はすべてご本人の実音声です。現在、QA動画は第3回まで公開しています。

外国人の終活・相続についてのご相談は、御嶽 亜由美 先生へ:
https://www.samurai.co.jp/samurai/reserve/mitake-ayumi

シリーズ全6回のラインナップ

第1回〜第3回は動画を公開中、第4回〜第6回は元記事を先行して掲載し、動画は順次公開予定です。

  • 第1回 準拠法――どの国の法律で相続が進むか
  • 第2回 死亡後の手続き――最初の2週間で何をすべきか
  • 第3回 銀行口座の凍結と解除――残高証明の請求でも凍結される
  • 第4回 誰が相続人になるのか――法定相続順位・外国人配偶者・内縁(動画は公開予定)
  • 第5回 日本国内の資産と海外の資産――どこまでが対象になるのか(動画は公開予定)
  • 第6回 行政書士の役割――専門家に何を頼めるのか(動画は公開予定)

第1回 準拠法――外国人の相続は「日本法」で進むとは限らない

▼元記事(日本語・English): https://mitake-gyosei.com/whose-law-applies-when-a-foreign-resident-dies-in-japan/

外国人が日本で亡くなったとき、最初に決まるのは「どの国の法律で相続を進めるか」です。日本の「法の適用に関する通則法」36条は、相続は被相続人の本国法による、と定めています。つまり日本に何十年住んでいても、亡くなった方が外国籍なら、原則はその国の相続法が適用されます。誰が相続人になるか、取り分はいくらか、遺言の効力はどうか――出発点がすべてここで変わります。

ただし例外があります。本国の国際私法が「不動産の所在地法による」「住所地法による」などと定めていて、結果として日本法が指し示される場合には、日本法が適用されます。これが「反致」(通則法41条)です。国籍によって結論が変わるため、まず確認すべきは亡くなった方の国籍と、その国の相続ルールだということになります。

動画では、御嶽先生が実務での確認手順を、具体例を交えて解説しています。国際結婚のご夫婦、永住者のご家族、これから日本で終活を考える外国人の方に、シリーズの土台としてまずご覧いただきたい回です。

第2回 死亡後の手続き――「死亡届を出せば終わり」ではない

▼元記事(日本語・English): https://mitake-gyosei.com/what-happens-first-when-a-foreign-resident-dies-in-japan/ 家族が亡くなった直後から、ご遺族は時間との戦いに入ります。日本の死亡後手続きは「身分関係の届出」と「社会保障関係の届出」の2系統に分かれ、それぞれ別の期限が走ります。厚生年金の資格喪失は死亡から10日以内、国民年金は14日以内。在留カードは14日以内に出入国在留管理庁へ返納が必要です。マイナンバーに登録済みであれば受給権者死亡届は省略できますが、未支給年金の請求は別途必要になります。

外国人ならではの重要な注意点が「死亡診断書」です。役所に提出すると原本は返ってきません。日本人と違って戸籍のない外国人の場合、死亡診断書のコピーが後々の手続きで死亡を証明する中心的な書類になります。原本を提出する前に、必ず複数枚コピーを取っておくこと。これだけで、その後の手続きの負担が大きく変わります。

このほか、本国大使館・領事館への届出やパスポートの扱い、そして「銀行への連絡はタイミングを慎重に」という次回への伏線まで。ご遺族が最初の2週間で何をすべきかが一望できる回です。

第3回 銀行口座の凍結と解除――残高証明の請求でも凍結される

▼元記事(日本語・English): https://mitake-gyosei.com/what-happens-to-japanese-bank-accounts/

口座凍結は「亡くなった瞬間」に起きるのではありません。銀行が死亡の事実を知った時に起きます。家族からの連絡やおくやみ欄のほか、相続準備のつもりで残高証明書を請求したことがきっかけで凍結されることもあります。一方、死亡届を役所に出しても銀行に自動で伝わる仕組みはありません。この非対称を知らないと、葬儀費用や当面の生活費が引き出せなくなります。

海外で一般的なジョイント口座(共同名義口座)は日本の銀行では作れず、遺産分割前の仮払い制度(民法909条の2・2019年7月施行)も「残高×1/3×法定相続分」かつ1金融機関150万円が上限。しかも利用には出生から死亡までの連続した戸籍が必要なため、戸籍のない外国人名義の口座では事実上使えません。解除には本国発行の出生・婚姻・死亡証明書、宣誓供述書、その日本語訳が必要で、収集に数か月かかることもあります。

突破口は遺言です。三井住友銀行・三菱UFJ銀行の実務では、有効な遺言があると戸籍収集の省略・縮小が案内されており、公正証書遺言一通が、残されたご家族への最も実務的な備えになります。

第4回 誰が相続人になるのか――配偶者だけじゃない

https://www.youtube.com/embed/4TaLVImsbv4

▼元記事(日本語・English): https://mitake-gyosei.com/who-are-the-heirs-when-a-foreign-resident-dies-in-japan/

「配偶者と子どもが相続人」――それは知っていても、国が違えば「相続人」の答えも変わります。日本の民法は、配偶者を常に相続人とし、血族相続人には順位を定めます。第1順位は子(その代襲は孫)、第2順位は直系尊属、第3順位は兄弟姉妹(代襲は甥姪)。法定相続分は、配偶者と子なら各2分の1、配偶者と直系尊属なら2対1、配偶者と兄弟姉妹なら3対1です。ただし、ここでいう配偶者は婚姻届を出した法律婚に限られます。事実婚・内縁のパートナー、そして海外で法的に結婚した同性のパートナーであっても、日本では遺言がない限り相続人にはなれません。一定期間の同居で相続権が認められるオーストラリアのde factoパートナーや、継続同居者に遺産給付の申立てを認める英国とは、大きく異なる点です。

もう一つの「想定外」が、日本の相続は「包括承継」だということです。プラスの財産だけでなく、マイナスの債務も一体で引き継ぎます。引き継ぎたくない場合は「相続の開始を知った時から3か月以内」に家庭裁判所へ相続放棄を申し述べる必要があり(財産調査に時間がかかる場合は熟慮期間の伸長申立ても可能)、外国人ご家族には特にタイトです。さらに、遺産分割は相続人「全員」の合意が前提。英米豪のように管理人(Administrator)が単独で遺産を清算・分配する仕組みとは構造が違い、相続人の一人が海外にいれば、書類の認証・翻訳に数か月かかることもあります。

御嶽先生が最後に示すのは、これらの「想定外」に共通する一つの答え――有効な遺言です。遺言があれば、事実婚や同性のパートナーに財産を遺せ、配偶者により多くを割り当てることもでき、財産と債務を生前に整理しておくことで、残されたご家族が3か月の期限内に冷静に判断できます。動画では、御嶽先生がこれらを6つの問いで、具体例を交えて解説しています。

第5回以降(元記事先行掲載・動画は順次公開)

第5回〜第6回は、みたけ行政書士合同事務所の元記事(日本語・English)を先行してご紹介します。QA動画が公開され次第、本コラムに動画リンクと約500字サマリーを追記していきます。

第5回 日本国内の資産と海外の資産――日本にある財産と海外にある財産で、手続きや対象範囲がどう変わるのかを整理します。
▼元記事: https://mitake-gyosei.com/assets-in-japan-vs-overseas-when-a-foreign-resident-dies-in-japan/

第6回 行政書士の役割――在日外国人の相続手続きにおいて、行政書士に何を頼めるのか、専門家の関わり方を整理します。
▼元記事: https://mitake-gyosei.com/the-role-of-an-administrative-scrivener-when-a-foreign-resident-dies-in-japan/

ご相談はこちら

口座凍結・国際相続・遺言・在日外国人の終活に関するご相談は、本シリーズにご出演の御嶽 亜由美 先生(みたけ行政書士合同事務所)へ。英語対応が可能で、在日外国人の終活支援・相続手続きを専門とされています。

▼御嶽先生へのご相談・予約(士業ドットコム)
https://www.samurai.co.jp/samurai/reserve/mitake-ayumi

▼みたけ行政書士合同事務所
https://mitake-gyosei.com/

※本コラムおよび各動画は一般的な情報提供であり、個別事案の法的助言ではありません。個別の手続は、対応する各専門家(取引銀行・行政書士・司法書士・弁護士・公証役場等)にご相談ください。
※司会LINKAのパートは、人間が執筆し浦松丈二がファクトチェックした台本をもとにElevenLabs・HeyGenで生成しています。御嶽先生のご回答はご本人の実音声です。

専門家コメント

  • 浦松 丈二

    浦松 丈二

    行政書士

    相続の現場に立つと、「配偶者だから当然に受け取れる」「長年一緒に暮らしたのだから遺せる」という思い込みが、国をまたいだ相続では通用しない場面に何度も出会います。とりわけ不動産は、相続人全員の合意がそろわなければ名義の手続きが前に進まず、相続人の一人が海外にいるだけで長期化します。私は相続不動産と遺言の実務を専門にしていますが、外国人ご家族のご相談でいちばん効き目が大きいのは、やはり生前の公正証書遺言です。遺言が一通あるだけで、集める書類も、残されたご家族の判断の負担も大きく減ります。「まだ元気だから」ではなく「元気なうちだからこそできる」――その最初の一歩を、お手伝いします。

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