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飼い主が亡くなったら、ペットはどうなる?──「誰かがどうにかしてくれる」の行き着く先

信託

執筆者: 大多和 輝

監修者: 浦松 丈二

あなたはペットを飼っていますか。

いつもあなたに寄り添う小さな命。あなたに何かあったとき、この子はどうなるでしょうか。

「家族が飼ってくれる」──それは、本当でしょうか。

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ある日の電話

去る5月15日、地域包括支援センターからご連絡をいただきました。

「高齢のご夫婦で、ご主人が突然亡くなられて、ペットを飼えなくなったらしい」

翌16日、地元会社代表の有志の方、葬儀社の方とともにご自宅へうかがいました。そこには、立つこともままならない奥様がおひとりで座っておられ、糞尿で濡れた畳の上に、1匹の犬が座っていました。

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ミニチュアピンシャーの「まめちゃん」。13歳のオスです。長年散歩に連れて行ってもらえず、自分で立って歩くのが難しいほど太っていました。トイレもさせてもらえず、家の中でほったらかしの状態でした。

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奥様は「保健所に行ってしまうよりは、誰かに引き取ってほしい」とおっしゃいました。しかし、引き取りにも医療費や飼育費がかかることをお伝えすると、費用は一切残せないというお答えでした。

よくよくお話をうかがうと、ご夫婦はぎりぎりの生活の中で、「なんとなく」ペットを飼い続けてこられたのだとわかりました。誰かを責めて済む話ではありません。けれど、はっきりしていることがひとつあります。

この子は「命」です。痛みも喜びも、ちゃんと感じられる命です。

まめちゃんは、はじめこそ吠えていましたが、すぐに短い尻尾を振って手をなめてくれる人懐っこい子でした。ハーネスとリードをつけて外に出ると、とても嬉しそうに、よたよたと歩いてくれました。何年ぶりの散歩だったのでしょうか。

「誰かがどうにかしてくれる」の行き着く先

「息子がいるから」「姪っ子に頼んだから」「友達に頼んであるから」「きっと誰かがどうにかしてくれるよ」

この仕事をしていると、こうした声を本当にたくさんお聴きします。でも実際には、頼んでいた犬友達の方が先に亡くなられたり、ご自身が亡くなった後に息子さんのお子さんに猫アレルギーがあって飼えなかったり──「誰もどうにもしてくれなかった」というご相談が、「どうにもならなくなってから」届くのです。

行き場を失った命は、どうなるのでしょうか。

環境省の最新統計(令和6年度)によると、全国で殺処分された犬猫は6,830頭。負傷動物を含めると年間およそ1万頭の命が失われています。飼い主の死亡や病気で行き場を失う「元ペット」は、後を絶ちません。

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そして、この6,830頭のうち2,092頭は、「譲渡できる」と判定されながら処分された命でした。引き取る人がいれば、飼育費があれば、救えたはずの命です。多くの自治体では、その最期は今も炭酸ガスによる窒息死です。

まめちゃんは13歳。保護の世界では「ハイシニア」と呼ばれ、新しい家族が見つかる可能性はぐっと低くなる年齢です。それでもまめちゃんは、有志の方が一時預かりとして保護して下さり「どうにかして」もらえました。これは、幸運な例外です。

備えは、元気なうちにしかできません

ペットへの備えは、決して難しいものではありません。ただし、病気になってから保険に入れないのと同じように、元気なうちにしか備えられません。

「誰に託すか」だけでなく、「飼育費をどう残すか」。まめちゃんのケースが教えてくれたのは、引き取り手の問題と同じくらい、お金の備えが命を左右するという現実でした。

お子さんやご家族のためになら、備えられると思います。あなたの「大切な家族・大切な命」のためにも、あなたが元気なうちに、備えをはじめてください。

この連載では次回から、遺言・死後事務委任・ペット信託など「ペットの将来に備える方法」を、ひとつずつわかりやすくお伝えしていきます。

まめちゃんの家族を募集しています

まめちゃんは現在、一時預かりの方のもとで新しい家族を待っています。

  • ミニチュアピンシャー/13歳・オス(近々に去勢手術予定)/体重約9kg
  • 歩くのがやっとですが、とても人懐っこい子です
まめちゃんに温かいご飯と、ずっとのおうちを。Instagram:@ganbare_mamechan

【7月5日・松戸】無料お話会のご案内

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「ご高齢の方 おひとりの方 ペットを家族に迎える前に」

  • 日時:7月5日(日)13:00〜15:00/参加無料
  • 会場:動物保護・譲渡施設「ペットと暮らそう」(千葉県松戸市古ヶ崎763-1/JR松戸駅西口徒歩13分)
  • 内容:第1部 小さな命を家族に迎えるにあたって/第2部 もしもの時のペットへの備え/第3部 譲渡前の個別相談会
  • お申し込み:050-5838-8847(おおたわ行政書士事務所 Heartfelt)
年齢を理由にペットを諦めている方も、事前の備えと最後まで飼う覚悟を持つことができれば、小さな命を迎えられるようになります。ぜひ足をお運びください。

よくあるご質問

Q. 飼い主が亡くなったら、ペットはどうなりますか?

A. 引き取り手と飼育費の備えがない場合、保健所等に収容され、譲渡されなければ殺処分となる可能性があります。令和6年度には全国で6,830頭の犬猫が殺処分されました(環境省統計)。

Q. ペットのための備えには、どんな方法がありますか?

A. 負担付遺贈、死後事務委任契約、ペット信託などがあります。「誰に託すか」と「飼育費をどう残すか」をセットで決めておくことが大切です。詳しくは本連載で順にご紹介します。

Q. 高齢でも保護犬・保護猫を迎えられますか?

A. もしもの時の引き取り先と飼育費をあらかじめ備え、かつその上でなお最後まで飼う覚悟を持つことができれば、保護施設も安心して譲渡できるようになり、ご高齢の方やおひとりの方でも迎えることができるようになります。

参考データ・出典

※本記事の情報は2026年6月時点のものです。ペットの将来に備える具体的な手続きについては、行政書士等の専門家にご相談ください。

執筆者:大多和 輝(おおたわ ひかる)

おおたわ行政書士事務所 Heartfelt 代表。行政書士・家族信託専門士・愛玩動物飼養管理士・AFP。【相続×ペット×終活】をワンストップで支援し、高齢の方・おひとりの方が生涯安心してペットと暮らせる仕組み「命のかけはし」(松戸市ビジネスプランコンテスト2025最優秀賞)を提供。小学2年生から15頭の犬猫と人生をともにし、地元アニマルシェルターでのボランティア活動を続けている。

監修者:浦松 丈二(うらまつ じょうじ)


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